高橋アキさんインタビュー!柳家花緑さんとともに新たに再出発した「ババール」企画への思い

音 楽

2017 03 03

高橋アキさんインタビュー!柳家花緑さんとともに新たに再出発した「ババール」企画への思い

もうすぐ春休みシーズンですね!コンサートホールでは、3/26(日)午後、ご家族一緒に楽しめる「小さな聴き手のためのコンサート 音楽物語 ぞうのババール」を開催します♪
水戸芸術館オリジナル企画「音楽物語 ぞうのババール」では、音楽と語り、そしてババールの絵本のイラストのコラボレーションをお贈りしており、1995年の水戸芸術館での初演を皮きりに、全国各地で上演し、人気を博してきました。今回は、1995年以来ご出演くださっているピアニスト、高橋アキさんにインタビューをおこないました。「ババール」公演にまつわる貴重なエピソード、昨年の公演で語りを初めて務めた落語家・柳家花緑さんの数々、ぜひご一読ください!

高橋アキ インタビュー

 

今年も音楽物語「ぞうのババール」の上演を、心より楽しみにしております! 語り手は、初代の長野羊奈子さんにかわり、昨年から落語家の柳家花緑さんをお迎えしています。初共演のご感想をお聞かせください。

とても若々しく溌溂としていて、しかもご自身もピアノをお弾きになる方なので、ピアノとのタイミングやコミュニケーションも最高でした。初共演とは思えないほどで楽しかったです。

アキさんは1995年以来、水戸芸術館の「ぞうのババール」企画にお力添えくださっています。これまでのご出演の中で、特に思い出に残っていることなどありましたら、お聞かせいただけますか?

実はババール以前には、子どものためのコンサートをしたことがなかったので最初はドキドキでした。ステージに出る前に客席を覗いてみると、小さな子どもたちが元気になにやら叫びながら運動会みたいに会場を走り回っています!いったいどうなるのかと心配でした。でも初代の語り手だった長野羊奈子さんが、みんなのお祖母さん(失礼!)のように慈愛に満ちたゆっくりした口調でお話を始めると、お母さん象がいなくなったババールをかわいそう、と子どもたちが涙を浮かべたりしてお話に夢中になっている姿を見て、素敵な企画に参加できたことをとてもうれしく思いました。それから20数回、全国を長野さんと水戸のスタッフの方たちとまわってコンサートをしたのも楽しい思い出です。その長野さんが亡くなってしまわれ、しばらく途絶えていた企画が、柳家花緑さんをお迎えして新たに再出発できたことを本当にうれしく喜ばしく思っています。


「ぞうのババール」原作者、ジャン・ド・ブリュノフのご子息であるローランさんに、以前ニューヨークでお会いになったそうですね。どんなきっかけがあったのでしょうか?

ジャン・ド・ブリュノフは息子たちのために小象ババールの物語の絵本を作り、出版されて大人気となりました。でも37歳の若さで惜しくも結核で亡くなってしまいました。その後、長男のローランが後を継いでババールの物語の絵本をずっと書き続けてきたのです。

フランシス・プーランクは、彼の小さな“いとこ”たちなどのために、ババールの最初の物語「小象ババールの物語」に音楽を作曲しました。ジャン・ド・ブリュノフが描いた2冊目の「ババールの新婚旅行」の物語に、アメリカの作曲家ラファエル・モステルが1990年代になって室内楽編成の音楽を作曲しました。それをニューヨーク・フィルのメンバーなどと一緒に、私がピアノ・パートを演奏しCDにもなりました。その際、ローランと初めて会いました。彼はアメリカの作家フィリス・ローズと結婚していてアメリカに住んでいます。彼は尺八も吹く東洋的な風貌の物静かな素敵な紳士でした。この新しい作品のニューヨークでのお披露目のコンサートでは、ローランが語りを務めました。現在91歳でフロリダに住んでいらっしゃいます。


絵本『ぞうのババール』を日本語訳された矢川澄子さんともご親交があったそうですね。矢川さんとの思い出で、特に印象に残っていることがありましたら、教えていただけますか?

矢川さんとはいつ初めてお会いしたかなど詳しいことは覚えていません。ババール以前から兄の高橋悠治が主宰していた「水牛楽団」のコンサートなどによくいらしていたので、打ち上げでご一緒してお話したりしていました。彼女が忌野清志郎の大ファンだったことから、当時の東芝EMIで「ぞうのババール」のCDが語りを忌野清志郎、そして私のピアノで実現したのです。その後、長野羊奈子さんの語りと私のピアノで水戸芸術館発信として、全国で子供のためのコンサートをした時も可能な限り聴きにいらしてました。盛岡にもいらしていてびっくりしたことを覚えています。少女のような風貌に花飾りのついた可愛い帽子をかぶった独特のスタイルでした。


水戸芸術館の「音楽物語『ぞうのババール』」では、3歳以上のお子様を「小さな聴き手」としてお迎えし、素敵な音楽との出会いをお贈りしたいと考えております。ご自身では、幼い頃の音楽との関わりについて、特にご記憶に残っていることはありますか?

私の家庭は、父が戦前は音楽雑誌の編集をしたりしていたため音楽関係の本がたくさんありましたし、母もピアニストで家ではピアノを教えていたので環境には恵まれていました。ですから格別な“音楽との出会い”はないのですが、幼い頃から毎晩のように、家の離れで母が弾くショパンやベートーヴェンなどのピアノ曲を聴きながら眠りについたあの頃、常に感じていた“音楽への憧れ”は忘れ難いです。


最後に、今回のコンサートの聴きどころをご紹介いただけますか?

前半は小さなお子さんでも弾ける楽しい可愛らしいピアノ曲ですが、サティの曲には楽譜にお話も書き込まれているので同時に語りますし、その音と言葉(曲名も含めて)の掛け合いでイメージを広げていただけることと思います。後半のピアノは技術的には結構難しいのですが、同時に進行するババールが生まれてから結婚するまでの波乱に満ちたドラマの、“語り”と大きな画面に写し出されるたくさんの“絵“によって総合されてひとつとなり、きっとお子さんだけでなく大人の方たちにも楽しんでいただけることでしょう。

 

2017年1月26日

聞き手:高巣真樹(水戸芸術館音楽部門)

takasumaki
makit@arttowermito.or.jp