【ATM便り】河原忠之の《水戸 de Opera!》

音 楽

2018 01 11

【ATM便り】河原忠之の《水戸 de Opera!》

茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。水戸芸術館コンサートホールATMでのコンサートやイベントに因んだ読み物を、水戸芸術館音楽部門学芸員が分担執筆しています。
今回はいよいよ明後日に開催が迫った 河原忠之の《水戸 de Opera!》にちなんだ話題をお届けしました。


ATM便り 2018年1月11日号

心理描写、最大の魅力

 
水戸芸術館コンサートホールATMの新年は、1月13日の「河原忠之の《水戸 de Opera!》」で幕を開けます。

オペラを知り尽くしたピアニスト、河原忠之さんの企画構成とトークにより、オペラの楽しみを広く皆様にお届けしようという新企画です。オペラの本場イタリアで研鑽を積んだ河原さんは、オペラ歌手たちから共演の申し出がひっきりなしの名伴奏者として知られています。
第1回は「プッチーニ vs ヴェルディ」と題し、イタリア・オペラの二大作曲家による名旋律を中心にお楽しみいただきます。

よくあるオペラ・アリアのコンサートと一味違い、「重唱」をメインに据えたことが河原さんのこだわりでしょう。

プッチーニの作品からは、歌劇「ラ・ボエーム」第3幕の四重唱“さらば甘い目覚めよ”。ミミとロドルフォという、愛し合いながらも病気と貧困の深刻さから別れなければならないカップルと、ムゼッタとマルチェッロというコミカルに言い争いするカップルを対比的に描く四重唱です。

ヴェルディの作品からは、歌劇「リゴレット」第3幕の四重唱“美しい愛らしい娘よ”。宿屋で出会ったばかりの女性マッダレーナを口説き始めるマントヴァ公爵、その誘いを巧みにかわすマッダレーナ。その様子を外から窺い嫉妬心を抱くジルダ(マントヴァ公爵を愛している)、愛娘ジルダに公爵の正体をわからせようとする道化師リゴレット。“四者四様”の心のありようを見事に表現した四重唱です。

オペラにおける重唱の楽しみは、声が重なり合うことによってもたらされるハーモニーの魅力にとどまりません。むしろ、先述したような登場人物たちの異なる心理が、一つの曲の中で時に重層的に、時に対比的に描かれるのが、最大の魅力です。まるで現実の時間が引き延ばされたかのように錯覚してしまうほどです。

佐藤美枝子さん(ソプラノ)、林美智子さん(メゾ・ソプラノ)、望月哲也さん(テノール)、黒田博さん(バリトン)という優れた演技力も持つ歌手たちが、河原さんのピアノとともに、重唱の楽しみを心ゆくまで味わわせてくれることでしょう。

(水戸芸術館音楽部門主任学芸員・関根哲也)

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