子どもたちに大人気のオルガニスト・浅井美紀さんインタビュー!「0歳からのわくわくオルガン★コンサート」に向けて

音 楽

2018 01 13

子どもたちに大人気のオルガニスト・浅井美紀さんインタビュー!「0歳からのわくわくオルガン★コンサート」に向けて

3月23日と24日に、赤ちゃんからご参加いただける新企画「0歳からのわくわくオルガン★コンサート」を行います!出演は、毎年約1200人もの幼児が参加している「幼児のためのパイプオルガン見学会」にて、2003年から講師を務めるオルガニスト・浅井美紀さん。今回のコンサートでは、皆さんには客席ではなく、ホールの舞台上に集まっていただき、小型のポジティフオルガンの近くに座って、リラックスした雰囲気で行います。クラシック曲、ディズニーの音楽、春の童謡など多彩な音楽をお楽しみ頂くほか、からだを動かしたり歌ったり、身近な材料を使って簡単な楽器を作るコーナーもあります。ぜひ一緒に音を鳴らしながら、楽しくコンサートホールにデビューしてみませんか♪

公演に向けて、浅井美紀さんにインタビューしました。その言葉は、長年子どもたちと向き合ってきた浅井さんならではの優しく温かい思いに満ちていました。

 

――浅井美紀さんは、当館で毎月開催している「幼児のオルガン見学会」講師を、2003年から務めてくださっていて、子どもたちに大人気です。現在は、1歳と3歳のお子さんを育てていらっしゃいますが、以前と比べて、見学会での子どもとの向き合い方に変化はありますか?

「オルガン見学会」では、主に年長さんの子どもたちとご一緒させて頂いています。もともと子どもが大好きなので、講師としてお声がけいただいた時は本当に嬉しくて、やる気満々で。皆さんにたくさんアドバイスをいただきながら工夫を重ねてきました。

幼児のためのパイプオルガン見学会

幼児のためのパイプオルガン見学会

母親になってからは、子どもへの興味の持ち方が変わりました。以前は「私が好きなオルガンの魅力をどう伝えよう?この一時間、どうしたらみんな楽しく過ごせるだろう?」といつも考えていました。今は目の前の子どもに対して、「この子はこれまでの人生で、どんなおうちに住んで、どんなお友達がいて、今どんな気分でここにいるのだろう?」という、彼らの中にあるドラマを考えるようになりました。息子や娘の友達を見ているのと近い感覚かもしれません。もちろんオルガンや音楽を楽しんでもらいたいし、初めての触れ合いの場を大切にしたいと思うのですが、それと同じくらい、「よく頑張って来たね!」とか「(もし習い事をしていたら)帰ってからも忙しいだろうに」とか、そんなことを考えながら見学会をしています。今回も、参加してくれる子どもたちが「どのように今まで音楽に接してきて、その日を迎えるのだろう?」ということにとても興味があります。

 

――今回は、子ども一人一人への優しい眼差しをもつ浅井さんのコンサートですから、皆さん安心してご参加いただけそうですね。

同じコンサートに行っても、当然感じ方は人によって違いますよね。ですから、「コンサートホールならではの非日常感を味わいたい」でもよし、「日々公園とスーパーの行き来だけでかわりばえしないから、今日はオルガンを聴いてみようかな」という、ざっくばらんな気持ちでもよし。楽しみ方は人それぞれで構わないんです。子どもが一緒にいるなら、なおさらそうだと思います。

最近、初めて子育て支援センターに行った時のことがよく頭に浮かぶんです。上の息子が1歳未満の頃、実は私、毎日をどう過ごしていいか分からなかったんです。子育ては初めてだから、当たり前なんですけどね。でも私には「今日一日、この子に何とかして楽しんでもらいたい」という気持ちが毎朝あって。ちょっと頑張り過ぎていたとも思うんですが、「今日は公園」「今日は一緒にお買いもの」「今日は初めての水族館」…と一生懸命やっていた時に、「近所の子育て支援センターに行ってみよう」という日があって。そこに行ったらたまたまイベントをやっていて、スタッフの方が「みんな集合して~!お友達はお母さんのお膝の上に載ってね!」と言って、〈バスごっこ〉という曲が始まったんです。言われるがままに私も息子とからだを動かしていたら、とても楽しくなって、ふっと気が楽になったんです。「毎日楽しませてあげなきゃ」と、気を張りつめて子育てしていた私を救ってくれた曲のひとつです。そして、一人で頑張らなくても、こういうところに来れば、こんなに楽しい体験ができる、という発見の喜びがずっと残っています。今回の企画に声をかけて頂いた時は本当に嬉しくて、「曲、何にしよう?」と考えた時、〈バスごっこ〉は是非弾きたいなと思いました。思い出の一曲です。

 

――子育てされている方の中には、息抜きできる場所が少ないと感じている方もいるかもしれません。そういう点で今回は、みんなでからだを動かしたり手遊びしながら気軽に楽しめそうですね。

私が子育て支援センターで体験した〈バスごっこ〉が大きな力で私を癒してくれたように、思いがけないところに、自分にヒットする何かが転がっていると思うんです。毎日がんばっていらっしゃるご家族にとって、そういう息抜きができる場になれば嬉しいです。

 

――0歳から参加できるコンサートは当館では初開催です。浅井さんは子どもと音楽の関わりについて、日頃感じていらっしゃることはありますか?

このようなコンサートに携われて本当に光栄です。私は、大人が思う以上に、子どもはよく音楽を聴いているなと思います。うちの娘は1歳になる前から、音楽が鳴ると、一生懸命掴まれるところに掴まって、膝を軽く屈伸させながらリズムをとるんです。そうすると「いま機嫌がいいんだ」と気付いて、母親業の助けにもなりました。それから、同じようにアップテンポな楽しい曲でも、子どもがのる曲とのらない曲がある。1歳になる前から曲の好き嫌いがあって、やがて興味のある曲はちゃんと覚えて歌えるようになるなんて、よく考えたらすごいことだと思うんです。今度3歳になる息子は、今はクリスマス発表会のために保育園で習った「はらぺこあおむし」の曲を繰り返し歌っています。家では一日中、「もう一回歌って!」と言われるので、私も毎日、『はらぺこあおむし』の絵本をめくりながら歌っています。私やお兄ちゃんが歌い始めると、妹はとても嬉しくて、つかまり立ちをして踊り出します(笑)。誰かが自分のために、あるいは本人たちが楽しんで歌っているのって、本当に嬉しいんですよね。

浅井美紀

――今回のプログラムについて、ご紹介をお願いします。

いろんなご家族の皆様に楽しんでもらいたいと思って、プログラムを考えました。コンサートでは最初に、〈調子のよい鍛冶屋〉という曲を弾きます。J.S.バッハと同じ時代に活躍したヘンデルの作品で、それをのちの時代、カークエラートがオルガン用に編曲したものです。皆さんにはせっかく芸術館に来て頂きますし、クラシックが好きな方も多いかと思いますので、「今日はコンサートに来た」という、非日常の気分を味わっていただきたいと思いました。次に、ディズニー映画の「シンデレラ」の曲。ディズニー映画って、音楽の持つ大きな力を感じるんですよね。すっと夢見る気持ちに連れていってくれる。今回は女の子に喜んでいただけそうな「シンデレラ」の曲を演奏します。そのあと〈バスにのって〉〈バスごっこ〉という、からだを動かして遊べる曲を演奏します。0歳さんはご家族のお膝の上で。大きいお友達は好きに動きながら。恥ずかしかったら無理せず、座って聴いてくださいね(笑)。これは先ほどお話した、私の子育てのピンチを救ってくれた曲たちです。乗り物好きの男の子にも喜んでいただけるかなと思います。そして〈春が来た〉と〈ちょうちょう〉。子どもが生まれるまでは正直、季節感を忘れて過ごしがちでしたが、子どもと一緒にいる事で、季節の歌に触れ合う機会が増えました。今では四季を楽しむゆとりを持つことができています。子どもたちも季節を感じる曲が好きなので、今回はみんながすぐ歌えそうな春の曲を選びました。最後に〈となりのトトロ〉のメドレーです。「幼児のためのオルガン見学会」では、いつも最後に〈さんぽ〉を歌うのですが、みんな本当に大好き!息子の保育園では、毎朝のお散歩のとき、みんなでこの歌を歌いながら帽子をかぶったり、上着を着て準備しているそうです。息子もこの歌が大好きで、まだ音程を上手にとることはできませんが、音の高低だけはしっかりつけて、自分なりに歌を仕上げて歌っています(笑)。今回は、〈さんぽ〉を含む3曲くらいのメドレーを弾いて終わりたいと思っています。

ちらしビジュアル

それからコンサートでは、身近な材料を使って簡単な楽器を一緒に作ろうと思っています。自分が作った楽器を鳴らしながら、コンサートに参加してもらいたいです。もし歌うのが恥ずかしくても、楽器を鳴らすくらいならできるというお友達もいると思うので。もちろん、歌いたいお友達やご家族の方は大きな声で歌ってもらっていいですし、自由に楽しんで頂きたいです。

 

――皆さんには、客席ではなく舞台上のオルガンのまわりで聴いていただくスタイルですね。

パイプオルガンって、ヨーロッパの教会の上の方に鎮座していたり、コンサートホールの舞台の後ろに大きく構えているイメージだと思うんです。でも今回使うのは、小型で可動式の「ポジティフオルガン」。舞台上でオルガンのまわりに座って、身近な距離感で楽しんでいただきたいと思います。小型とはいえ、小さい子には大きな楽器でしょうから、ぐるっとまわって眺めるのも面白いかもしれません。

小型のポジティフオルガンの写真(2011年開催・パイプオルガン見学会)

――「参加したいけど、うちの子、ホールに連れて行って大丈夫かしら…」と感じている親御さんがいらっしゃったら、どんな言葉をかけたいですか?

「騒いでも平気ですよ」と言っても、「そんなことないでしょ~」と皆さん思われるかもしれませんが(笑)、今回の私のイメージは、みんなが騒いでいる音も含めての演奏会。私もみんなとからだを動かしたり歌ったりしますし、その中でたまたま私はオルガンを弾く、という感覚です。騒いでいるのも、音楽に反応している瞬間かもしれません。お子さんが騒ぐと、周りの目が気になるかもしれませんが、それはご自身が気にしているだけかも。「あんなふうに音楽に反応できていいなぁ」という眼差しかもしれませんよ。私はそのように考えています。どの反応も間違いではないのです。何の心配もなく、楽しみに、お気軽に。おめかしして来たい方もどうぞ。参加している他のお友達の反応を、お互い楽しく見つめあえるようなコンサートにできればと思っています。

浅井美紀

 

12月4日

聞き手:高巣真樹


0歳からの わくわく★オルガン・コンサート

 

赤ちゃんからご参加いただける、小型パイプオルガンの音楽会!演奏は、子どもたちに大人気のオルガニスト・浅井美紀さん。
舞台上で、からだを動かしたり、簡単な楽器を作ったりしながら楽しくコンサートホールデビューしましょう♪

3月23日(金)10:30~11:30(おもに0~2歳向け)/13:30~14:30(おもに3歳以上向け)
3月24日(土)10:30~11:30(全年齢向け)

[会場] 水戸芸術館コンサートホールATM
[対象]0歳~小学校入学前のお子さまと保護者
[参加費]子ども500円、大人1,000円
※会場には授乳やオムツ替えが可能なスペースも設けます。

[出演]浅井美紀

[演奏曲]
❖調子のよい鍛冶屋[抜粋] (ヘンデル作曲[カークエラート編曲]) ❖夢はひそかに~ディズニー映画「シンデレラ」より ❖バスにのって(谷口國博作曲) ❖バスごっこ(湯山昭作曲) ❖春が来た(文部省唱歌) ❖ちょうちょう(文部省唱歌) ❖となりのトトロ・メドレー

[定員]各回12組(先着順)
[申込み受付]1/26(金)10:00~、お電話でお申込みください。
[申込み先・お問合せ] 水戸芸術館音楽部門 TEL.029-227-8118(10:00~18:00[月曜休館])

主催:公益財団法人水戸市芸術振興財団 https://arttowermito.or.jp/

協力:子育て応援・ペンギンくらぶ

❖PROFILE

浅井美紀 Miki Asai

東京藝術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業。同大学院音楽研究科修士課程修了。安宅賞およびアカンサス音楽賞受賞。横浜みなとみらいホール・オルガニスト・インターンシップ修了。全国各地での演奏活動のほか、オルガン見学会や公開講座等の企画・演出も数多く手がけている。水戸芸術館では1997年よりパイプオルガン・プロムナード・コンサート等に数多く出演、2003年より「幼児のためのパイプオルガンオルガン見学会」講師を務め、好評を博している。

takasumaki
makit@arttowermito.or.jp