世界最高峰の管楽アンサンブル「レ・ヴァン・フランセ」初登場! メンバーが大いに語る!

音 楽

2018 02 08

世界最高峰の管楽アンサンブル「レ・ヴァン・フランセ」初登場! メンバーが大いに語る!

一流オーケストラの首席奏者やソリストとして活躍する名手たちで構成されたヴィルトゥオーゾ集団「レ・ヴァン・フランセ」(LVF)が、水戸芸術館に登場します!彼らの十八番であるプーランクの六重奏曲ほか、多彩なプログラムを通じて、スーパープレイヤーならではの超絶技巧から、繊細かつ洗練されたアンサンブルまで、極上のドラマで聴衆を魅了することは間違いありません。

公演に向けて、LVF創設者であるポール・メイエさん(クラリネット)、そしてエマニュエル・パユさん(フルート)など、メンバーたちがインタビューにこたえてくださいました。ぜひご覧ください!

――レ・ヴァン・フランセ(LVF)設立の経緯を教えてください。また、LVFのユニークさについて教えていただけますか?

メイエ:私は子供の頃から、いつも管楽器の演奏家と演奏してきました。姉はフルート奏者、兄はオーボエ奏者、いとこはバスーン奏者で、私たちはいつも一緒に演奏を勉強してきたんです。その後、私は幸運なことに、モーリス・ブルグやハインツ・ホリガーと演奏する機会を得ました。中でもジャン=ピエール・ランパルとの出会いは自分にとって特に重要なものでした。彼とはよき友人、音楽上のパートナーとなり、一緒に録音もしました。彼が声をかけてくれたおかげで、私たちはシャンゼリゼ劇場で、名オーボエ奏者のピエール・ピエルロとの共演も実現できました。

フランスの管楽器奏者の新世代ともいうべき、素晴らしい奏者たちが頭角を現してきたのはちょうどその頃です。エマニュエル・パユ、フランソワ・ルルー、ジルベール・オダンはもちろんそうした演奏家の一人で、私は彼らを一つに集めるべく、できることは何でもしました。そのうちに、私はエマニュエルやエリックと、毎夏フランスで室内楽の音楽祭を開催することになりました。このサロン・ド・プロヴァンス国際室内楽音楽祭が、みんなと集まる大事な場所になったのです。彼らと共演するのはいつも本当に楽しくて刺激的でした。オーボエ、クラリネット、ファゴットによる三重奏で録音したり、プーランクの作品全集を録音したりもしました。 エマニュエル、フランソワ、ジルベール、ラドヴァンのことは昔からよく知っていたし、彼らが演奏技術も人間性も、飛びぬけて優れた音楽家であることは明らかでした。ですから、私はそうしたメンバーを集め、名前を持ったアンサンブルとして定期的に演奏すべきだと常々考えていたのです。

そんな中、ある日パリにある、商標や会社名の登録所にたまたま行ったんです。それとなく「レ・ヴァン・フランセ」という名前が既にあるか調べてみたところ、驚いたことに登録歴はなく、自由に使えることがわかったんです。それで迷わず登録しました。「レ・ヴァン・フランセ」(LVF)の活動が始まったのはこういう経緯からでした。ちなみにLVFとして最初にツアーを行ったのは日本です!

このアンサンブルというか、個の集合体には、リーダーはいません。リーダーが必要だと考えたこともありません。皆で顔を合わせ、ベストを尽くしてリハーサルと本番に臨む、それが私たちのやり方です。LVFの特徴を表現するなら、きっと「尊敬」や「敬愛」という言葉がぴったりだと思います。皆が常に意見を言い合い、話し合うんです。もちろんレストランやバーで議論することも好きですよ(笑)。

――皆さんが今の楽器を始めたきっかけについて教えてください。

パユ:1974年、私は両親、弟とローマに住んでいたのですが、その時、隣の家に4人の子供がいて、みんな楽器を吹いていました。私は4歳にして、フルート、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの音を聴く機会があったということです。私はその時、いつも聴こえてくる曲が何か尋ねたことがあり、それはたしかモーツァルトのフルート協奏曲でした。それを聞いて「フルートが吹きたい。モーツァルトが吹いてみたい」と言うようになり、数か月後のクリスマスの日、ヤマハのフルートをプレゼントしてもらいました。それで6歳になる直前、近所に習いに行くことになったんです。

Emmanuel Pahud ©Denis Felix

Emmanuel Pahud ©Denis Felix

ルルー:6歳の時にオーボエを始めました。もっと早くから始めたかったのですが、残念ながらオーボエのクラスに空きがなかったんです。オーボエという楽器を初めて目にしたのは5歳の頃。ルーベという町の音楽院でその音色を耳にした時から、オーボエが吹きたい!と思っていました。私はこの楽器の美しさと音色にすっかり魅了されたのです。

François Leleux ©Uwe Arens /Sony Classical

François Leleux ©Uwe Arens /Sony Classical

メイエ:クラリネットを始めたのは8歳の時です。当時は姉がフルート、兄がクラリネットを吹いていて、私は何の楽器もやっていなかったのですが、何事もやってみないと気が済まない性格でしたから、自分も音楽をやりたい!と思ったのです。兄のフランソワはクラリネットがとても上手だったので、周りの大人が彼に、オーボエへ転向するよう勧めたんです。そうして幸運なことに、彼のクラリネットが私のものになりました。

Paul Meyer ©Shin Yamagishi

Paul Meyer ©Shin Yamagishi

ヴラトコヴィチ:ホルンを始めたのは、アメリカに滞在していた6歳の頃です。父が若いホルン奏者と知り合ったことがきっかけで、彼が私の最初の先生になりました。

Radovan Vlatkovic

Radovan Vlatkovic

オダン:バソンを始めたのは13歳の時です。それまでヴァイオリンを学んでいましたが、バソンを始めてから4年間は、両方の楽器を勉強していました。ヴァイオリンよりも、バソンを演奏する時の感覚の方が楽しめましたね。特に、バソン独特の低音が好きだったんです。吹く時にからだの内側と外側を響かせる、歌手のような身体的感覚も魅力的でした。もちろん具体的な作品で考えると、ヴァイオリンとバソンのかけ合いは、珍しいものではありません。モーツァルトの交響曲、ヴィヴァルディの協奏曲、そして特にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ではこの二つの楽器による密な対話がありますよね。そうしたことを考えた時、個人的には、その中でバソンを吹く自分を想像する方がずっとわくわくしたんです。

Gilbert Audin

Gilbert Audin

ル・サージュ:ピアノを始めたのは5歳の頃です。家にアップライトのピアノがあって、あるとき子どもの歌を指一本で弾いてみるよう言われたんです。それをやってみせたら、母親が、ピアノを私に学ばせてみようと思うようになったことがきっかけです。

Eric Le Sage

Eric Le Sage

――LVFは、皆さんの音楽活動の中でどのような存在でしょうか?

パユ:私が固定メンバーのアンサンブルで演奏しているのは、ベルリン・フィル以外では唯一、LVFだけです。あとはソリストとして協奏曲を演奏したり、リサイタルをしています。私にとってLVFは、管楽器による演奏の理想の場所です。お互いがお互いの手本であり、尊敬し合い、それぞれの素晴らしい資質を惜しみなく出し合うことで、一人で演奏するよりもさらに高みに行けるのです。LVFでの経験が、自分の限界を超え、ソロやオーケストラでも新しい境地を拓くことを可能にしてくれているんです。

メイエ:LVFでの経験は、とても貴重で美しいものです。こんなに優れた演奏家である友人たちに囲まれ、なんて自分は幸せで恵まれているんだろう、と思います。これほど卓越したアンサンブルで演奏できることは、多くの点でメリットがあります。

・技術面:一つの集団の中に溶け込んで演奏することは、ソリストであることとは全く別で、確固とした自制心が必要です。その中で育まれるものは、他の分野においても貴重な力を発揮すると思います。

・レパートリー:私たちは、よく知られた名曲からあまり知られていないレパートリーまで、フランスものだろうとそれ以外であろうと、積極的に広めようと心がけています。

・素敵なひととき:これは皆さんもよく分かりますよね、友人と過ごす時間はかけがえのないものです!

私は、ソリスト・指揮者・室内楽奏者(主に弦楽器やピアノとの共演)・自分のレパートリーをはじめ、現代や同時代の音楽の開拓など、多岐に渡る音楽活動を展開していますが、それらをより豊かなものにするために、LVFでの活動はとても貴重なものなのです。LVFという楽団名を登録した時、私はフランスの管楽器奏者たちが築いてきた偉大な伝統との連なりを考えました。そしてビュッフェやマリゴなど、フランスの素晴らしい楽器メーカーのことも。それらはいずれも世界でトップクラスだと思います。

――アンサンブルをより上達させたいと志す若い音楽家にアドバイスをお願いします。 

パユ:私が音楽と出会ったのは隣の一家を通じてでしたが、それ以降、子供の頃からずっと、両親がコンサートやオペラに連れていってくれて、そうした世界が大好きだったんです。十代になると、自らそうした公演へ出かけ、演奏会を作る方にも携わるようになったんです。舞台裏や舞台上のセッティングを手伝ったり、譜めくりをしたり。ですから「あなたが音楽の中で育ち、また音楽があなたという土壌の上で育つためには、こうした音楽との関わり方がベストだ」と伝えたいですね!それに、公演の後には家族と話し合うべき感想もきっとたくさんあることでしょう。

ル・サージュ:私たちは本番の前に長い時間をかけてリハーサルをします。自由な演奏の解釈が生まれるよう、時間をかけるんです。それからメンバー全員が自分のパートをよく理解していて、他の人が出す音にもかなり集中しています。ですから、よく聴くことと事前の準備が非常に大事です。

――音楽以外で好きなことを教えてください。

パユ:ツアー中に自由時間がある時は、町を歩くのが好きですね。毎日一万歩は歩くように心がけています!散歩の途中で、食べ物屋や美術館、お寺に立ち寄ったり、買い物をしたりするのも楽しいですし、友達と過ごすのも大好きです。

メイエ:時間がある時は、まったく違うことをするのが好きです。友達や家族と会ったり、その町の文化や風景を楽しんだり。現代アートも大好きで、美術館にも時々出かけています。散歩も好きですよ。

 

――水戸で演奏していただくプログラムのご紹介をお願いします。

パユ:LVFが大事にしているのが、いかにコンサートの中で、音楽的に力強い瞬間を生み出すかということです。たくさんの感情、強い印象、美しいメロディ、興味をそそられる雰囲気、パワフルなリズムを通じて、聴衆の皆さんが私たちと一緒に旅をする感覚を味わってほしいと考えています。

今回水戸で演奏するのは、グリンカやテュイレなど、非常にロマンティックなプログラムです。またフランスの作品では、それらとはまた違って実に多彩な曲想が登場するので、聴いていて楽しいと思います。  プーランクの六重奏曲はもしかすると、管楽器とピアノのために書かれた作品の中で最も生き生きとした印象を受ける作品ではないかと思います。奏者にとっても聴衆にとっても、まるで美しい「常緑樹」のように、いつも新鮮な魅力を湛えているのです。メロディは美しく、リズミカルで、強さとともに優しさがあり、名人芸もあり、挑戦的でありながら、なめらかで活気にあふれ、爽快で、深みがあり、優雅…これら全てを兼ね備えた作品なのです。

メイエ:プーランクの六重奏曲は、我々にとってはもはや国歌のような存在です。メンバーそれぞれが自分のパートを楽しんでいますし、音楽の喜びを分かち合っています。私たちにとっての礎ですね。

――(全員からのメッセージ)  LVFとして初めて水戸を訪れ、コンサートホールATMの美しい音響空間の中で演奏することを本当に楽しみにしています!待ちきれません!!!

Les Vents Français ©wildundleise.de/Georg Thum

Les Vents Français ©wildundleise.de/Georg Thum

(インタビュー協力:ジャパン・アーツ)

takasumaki
makit@arttowermito.or.jp