【ATM便り】水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会

宮田大、竹澤恭子

音 楽

2018 09 26

【ATM便り】水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会

茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。水戸芸術館コンサートホールATMでのコンサートやイベントに因んだ読み物を、水戸芸術館音楽部門学芸員が分担執筆しています。
9月24日掲載の記事を一部改稿してこのブログに転載させていただきます。
今回は10月19・21日(金・日)に開催する水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会にちなんだ話題。今回の演奏会は、合奏協奏曲風の《プルチネッラ》組曲に始まり、竹澤恭子さん(ヴァイオリン)と宮田大さん(チェロ)がソロを務めるコンチェルトが並んだプログラム。ということで、今回の「ATM便り」は「協奏曲」をテーマに書かせていただきました。

水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会のチケットは9月30日(日)一般発売開始です。皆様のご来場をお待ちしております。

 


ATM便り 2018年9月24日

名器の音色、協奏曲競演

 

オペラが生まれ、宗教合唱曲がさかんに作られた17世紀のイタリアで、音楽家の花形といえば歌手でした。
ところが18世紀になると、声楽が盛んなイタリアにも徐々に器楽の名演奏家が登場するようになります。
なかでも多かったのはヴァイオリニストでした。16世紀半ばに北イタリアで完成されたヴァイオリン族の楽器は、よく響いたため、歌や踊りの伴奏に重宝され、17世紀の間にオーケストラの中心を占めるようになりました。
ストラディヴァリ、アマティ、グァルネリ、ゴフリラーといった弦楽器の名工は、この時代のイタリアに集中的に現れています。

では、これらの弦楽器を自在に操る奏者が、歌手ように、オーケストラの伴奏で持ち前の技巧を披露したら?
一説によれば、協奏曲はそのようにして誕生したようです。

最初に作られたのは「合奏協奏曲」でした。数人の演奏者(多くは弦楽器奏者)の独奏とオーケストラの合奏とが交代する形式で、17世紀後半にイタリアで誕生しました。
やがて合奏協奏曲を土台に、特定の一人の演奏家を際立たせる近代的な協奏曲のスタイルが生まれました。「独奏協奏曲」です。確立したのは、18世紀イタリアの作曲家で優れたヴァイオリニストでもあったヴィヴァルディ。有名な〈四季〉はヴァイオリンの独奏協奏曲で、合奏協奏曲から独奏協奏曲への過渡的な要素も残る作品です。

水戸室内管弦楽団第102回定期演奏会では、この〈四季〉など、協奏曲3作品をお贈りします。演奏会の幕開けを告げるストラヴィンスキーの組曲〈プルチネッラ〉は、18世紀イタリアの音楽を素材にした合奏協奏曲風の作品。続いて演奏されるカバレフスキーのチェロ協奏曲第1番は、伝統的な独奏協奏曲の形式で書かれています。
〈四季〉のヴァイオリン独奏は竹澤恭子さん、カバレフスキー作品のチェロ独奏は宮田大さんです。国内外で活躍する演奏家たちによる協奏曲の競演をどうぞお楽しみください。
竹澤さんの使用楽器は1699年製と1735年製のストラディヴァリ、宮田さんの使用楽器は1698年製ストラディヴァリと1710年製ゴフリラー。協奏曲が生まれた時代に作られた名器の音色にもご注目を。

(水戸芸術館音楽部門学芸員・篠田大基)


<公演情報>

水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会
https://www.arttowermito.or.jp/hall/hall02.html?id=1484

水戸室内管弦楽団10/19(金) 19:00開演
10/21(日) 18:00開演
会場 水戸芸術館コンサートホールATM
全席指定
S席¥7,000 A席¥5,500 B席¥4,000
ユース(25歳以下)¥2,000
(9/30(日)一般発売開始)

曲目
ストラヴィンスキー: 組曲〈プルチネッラ〉
カバレフスキー: チェロ協奏曲 第1番 ト短調 作品49
チェロ独奏:宮田 大
ヴィヴァルディ: 協奏曲集 作品8 〈和声と創意の試み〉から 第1~4番 RV269, 315, 293, 297〈四季〉
ヴァイオリン独奏:竹澤恭子

篠田 大基
篠田 大基
hshinoda@arttowermito.or.jp

音楽部門学芸員