水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会 竹澤恭子さんインタビュー

水戸室内管弦楽団 第93回定期演奏会より

音 楽

FEATURE

2018 10 05

水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会 竹澤恭子さんインタビュー

10月19・21日(金・日)に開催する水戸室内管弦楽団(MCO)第102回定期演奏会。先週末からチケットが発売開始になりました。
今回はMCOが活動の柱のひとつとしてきた指揮者なしの演奏会。国内外で活躍する名手たちによる、室内管弦楽団ならではの極上のアンサンブルが、たっぷりご堪能いただけます。

演奏曲目のひとつ、ヴィヴァルディ作曲の協奏曲集〈四季〉でソリストを務めるのは、国際舞台の第一線で華々しい活躍を続けるヴァイオリニストの竹澤恭子さん。2015年から水戸室内管弦楽団の一員になってくださっています。

今回のコンサートに向けて、竹澤さんにメール・インタビューをさせていただきました。
水戸室内管弦楽団の特色とこれまでで印象深いコンサートなどの話から、ヴィヴァルディの〈四季〉のなかでどの曲が一番お好きかといった話まで、記事を通して、水戸室内管弦楽団により親しみをもっていただけましたら幸いです!


 

水戸室内管弦楽団第102回定期演奏会に向けて
竹澤恭子さん(ヴァイオリン)インタビュー

 

――竹澤さんはこれまでに2回、水戸室内管弦楽団(MCO)とコンチェルトを共演されてきました。2015年の第93回定期演奏会でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番〈トルコ風〉、2017年の第98回定期演奏会では同じくモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための〈協奏交響曲〉のソリストを川本嘉子さんとともに務められました。そのときの感想や思い出など、お聞かせくださいますか?

竹澤:長年の夢でもありましたMCOと共演させていただけます機会をこれまでに2回もいただけましたことは、私にとりましてこの上もなく光栄で、幸せな事でした。2015年にコンチェルトを初めて演奏させていただきましたときも、絶対的な信頼感のもと、思う存分自分の音楽を表現させていただきましたし、同級生でもあり、昔からの友人でもあった川本嘉子さんとの昨年の共演は、お互いに刺激を受けながら、楽しく演奏させていただき、忘れられないコンサートの一つとなりました。

――最近のMCOの演奏会のなかで、竹澤さんにとって特に印象深い演奏会をお教えください。

竹澤:私にとりまして、どのコンサートも今までに無い経験をし、また刺激を受け、たくさんの事を学び、自分自身の音楽創りにさらに違ったディメンションを与えてくれていると思います。中でも、感動的でしたのは、ベートーヴェンの〈第九〉のコンサート(第100回定期演奏会)でした。あまりにも有名なこの名曲を、私はそれまで実際に演奏した事が無かったのです。大編成のこの作品を水戸芸術館で演奏する事は一つの大きなチャレンジでもあったと思うのですが、このホール、そして、それに見合う編成だったからこそ、バボラークさん、そして小澤先生のタクトのもと、この広大な曲を造り上げていく一つ一つの要素が明確に浮かび上がり、たくさんの発見があり、そして最終楽章のホールが割れんばかりの力強い歌声と小編成とは思えないオーケストラの響きには、本当に音楽の真の力を感じ、とても感激的でした。

――MCOは指揮者なしでの演奏を活動の一つの柱にしていますが、演奏家の視点から、指揮者なしで合奏する場合、どんな難しさや楽しさがあるとお考えでしょうか?

竹澤:指揮者の有無によって、もちろん演奏に向かう姿勢には自ずと違いが出て来ると思います。指揮者なしで大きなアンサンブルをまとめるのは容易ではない作品もあるかとは思いますが、それだけに、とにかくお互いの音に耳を研ぎすませつつ、また、同時に客観的な耳も持ちつつ、それらにフレキシブルに対応しながら一つの作品をまとめてあげていかなくてはなりません。これは皆が呼吸を一つにし、同じディレクションに向かわなければ成し遂げられない事だと思います。水戸のアンサンブルは、日頃別々の場所で演奏活動を行っているメンバーが年に数回集結して、それぞれの奏者がそれぞれの音楽観を持っている中で、一つのアンサンブルを創り上げていきます。とてもチャレンジングな事ではありますが、これも一つの大きな室内楽。試行錯誤しながらも皆で一つの作品を造り上げていく事は、一期一会の音楽の対話です。この楽しさを味わえる事は、ソロ活動を中心にしてきた私にとっては、今までに無い新鮮な喜びでもあります。

――ヴィヴァルディの〈四季〉にまつわる思い出を伺いたいのですが、初めて演奏されたのはいつですか?

竹澤:私の通っておりました中学校は学校の校門まで導かれる桜並木がとても美しかったのですが、毎朝その並木道をくぐり抜けながらこの美しい自然とともに慣れ親しんだのが、学校が朝の音楽として流していたヴィヴァルディ作曲〈四季〉でした。眠い目をこすりながらもこの音楽を聴く度に、なんともさわやかな気持ちになったのを憶えています。その後、音楽高校に進み、オーケストラの授業の最初の課題となったのが、このヴィヴァルディの〈四季〉から〈秋〉と〈冬〉でした。これが私の初めてのヴィヴァルディ〈四季〉の演奏となったのですが、私はその〈秋〉のソリストをつとめる事になりました。自分の誕生月でもあり、食べ物も美味しくなる大好きな季節でもあるこの〈秋〉ということもあって、思い入れも強く、狩りや収穫の喜び,そしてお祭りなど生きる力を感じられるこの曲の特徴を掴むべく試行錯誤したことを昨日の事の様に思い出します。そんな思い出の詰まったヴィヴァルディの〈四季〉、四季折々の自然の移り変わりや、それにともなう人間の営みが美しく、時には力強く、巧みに表現されているこの曲を演奏する度に、今まで演奏旅行などで訪れた国々の様々な四季を思い起こし、春から冬にかけての一年を旅する様な気持ちで演奏しております。

――最後にお客様へのメッセージをお願いいたします。

竹澤:この度、3年前からメンバーとしてご一緒させていただいておりますMCOの皆さまと子供の頃から慣れ親しんできた大好きなこの作品を演奏させていただけますこと、本当に楽しみで、わくわくしております。四季折々の情景が浮かび上がる様な演奏ができたらと思っております。会場の皆さまと春から冬への旅をご一緒できますこと、今から心待ちにしております!

 

2018年9月 メールにて
聞き手:篠田大基


 

竹澤恭子(ヴァイオリン)

竹澤恭子

竹澤恭子 ©松永学

才能教育研究会にてヴァイオリンを始め、桐朋女子高校音楽科在学中に第51回日本音楽コンクール第1位、併せてレウカディア賞、黒柳賞を受賞。1986年第2回インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで圧倒的な優勝を飾る。これまで、ニューヨーク・フィル、ボストン響、フィラデルフィア管、ロンドン響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、バイエルン放送響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管など世界の名門オーケストラと共演。指揮者では、小澤征爾、ズービン・メータ、シャルル・デュトワ、リッカルド・シャイー、クリストフ・エッシェンバッハ、ヘルベルト・ブロムシュテットらと共演。またアスペン、ルツェルンといった世界的な音楽祭にも出演を重ね、メニューイン、ロン=ティボーなど国際コンクールの審査員も数多く務める。水戸室内管弦楽団団員。使用楽器は1699年製ストラディヴァリウス「レディ・テナント」(ストラディヴァリウス・ソサエティ貸与)、1735年製、ストラディヴァリウス「サマズィユ」(日本音楽財団貸与)。


 

<公演情報>

水戸室内管弦楽団 第102回定期演奏会
https://www.arttowermito.or.jp/hall/hall02.html?id=1484

10/19(金) 19:00開演 10/21(日) 18:00開演
会場 水戸芸術館コンサートホールATM
全席指定 S席¥7,000 A席¥5,500 B席¥4,000 ユース(25歳以下)¥2,000

曲目
ストラヴィンスキー: 組曲〈プルチネッラ〉
カバレフスキー: チェロ協奏曲 第1番 ト短調 作品49
チェロ独奏:宮田 大
ヴィヴァルディ: 協奏曲集 作品8 〈和声と創意の試み〉から 第1~4番 RV269, 315, 293, 297〈四季〉
ヴァイオリン独奏:竹澤恭子

篠田 大基
篠田 大基
hshinoda@arttowermito.or.jp

音楽部門学芸員